「ん?なっちゃんもおむつ穿きたいの?」

「ええっ!?お、おむ・・・、おむつだなんて、とんでもないよぉ・・・」

夏子ちゃんに聞いてみると、彼女は恥ずかしがってきまりが悪そうな顔をした。だが、おそらく「おむつを穿いてみたい」という思いは嘘ではないと思われる。

顔がものすごく赤らんでいた。欲求と理性との間で葛藤していたのだろう。

「なっちゃん、確かにこの歳でおむつを穿くのは恥ずかしいかもしれない」

「そ、そうだよ・・・。大学生にもなって・・・、おむつは、恥ずかしいよっ!」

「だよね。でもね、おむつって、とっても気持ちいいのよ?たぶん、一度穿いちゃえば、布のショーツ穿いてるよりも圧倒的に心地いいと思うんだけどなぁー」

「さなちゃん!それはあまりにもおかしすぎるよ!第一布のパンツより紙おむつの方が気持ちいいだなんて、頭おかしいんじゃないの!?」



そう言って、夏子ちゃんは自分の部屋に入ってしまった。やっぱりか・・・。またも怒られてしまった。しかも、今までにない激しい剣幕で。

確かに、私の趣味は他人からしてみれば異常この上ない。夏子ちゃんも、私がおむつをしているのは未だにおもらしやおねしょが治っていないからだと思っているのかもしれない。

私は夏子ちゃんと同居を始めて以来、強引におむつを勧めたことがない。相手が嫌がるほど強くおむつを勧めたのは今回が初めてだ。

夏子ちゃんを自宅に迎え入れた時は、同情して助けてあげたあの子に、『おむつ』などというおかしな趣味のせいで手を切られるのが怖くて、無理に勧めることができなかった。

自他ともに認める仲良しになっても、彼女のおむつに対するイメージを変えることに成功していないのに、自分の趣味が理解してもらえるはずが無い・・・。

愚かなことに、そんなことは誘うときにはもう頭の中にあった。

もういいのよ。おむつなんかに興味を示してしまった私の方が馬鹿だった。もう二度と、彼女の前で『おむつ』という言葉を話すのはやめよう。

いや、どうせならおねしょを卒業した時のように、逆におむつなんかを穿きたがらなくなり、嫌いになってしまえばいい。もうおむつを穿くなんて、そんな馬鹿なことはしない。私はそう決心した。



タンスを引くと、出てくるのはぎっしりと詰め込まれたオヤスミマンとムーニーSB。いらなくなった時や、捨てるときのことを考えて、あえて両方ともパッケージを残していた。

私は両方のおむつを眺めた。本当なら隠れてでもおむつを穿きたい。

だが、夏子ちゃんを見て分かる通り、世間の目は恐ろしく厳しい。これ以上趣味でおむつを穿いていたら、いずれ夏子ちゃんに裏切られて、途端に学内の笑い者にされてしまう。

まあ自分の名誉に関してはどうでもいい。ただ、『おむつ』という存在自体が、あの頃の自分から卒業できていない証しなのだから、もう過去に陶酔するのはやめよう。

過去に思いをはせるのはやめて、夏子ちゃんと一緒に暮らす現実を見つめよう。今までの私は信じられないほど世間知らずな女だった・・・。

そう思い、大きなため息をつくと、おむつ一枚一枚をパッケージに丁寧に詰め込み、すべて詰め終わると、中身が分からないようにさらに大きな紙袋に詰め、私は家を出た。

向かうは近所の大手リサイクルショップ。あそこなら、私の性癖で買い集めたものが、未だにお金と恥ずかしさで苦しむおねしょ娘を救うことができるかもしれない、と思ったからだ。

そして、私はリサイクルショップで、持っていた『おもちゃ』をすべて彼女たちに捧げた。