(夏子ちゃんの視点)
「ううぅ・・・、ぐすん・・・」
私は早苗ちゃんになんてことを言ってしまったのだろうか。
早苗ちゃんは、自分が恥ずかしい思いをすることを覚悟して、私におむつを勧めてくれた。
私だって、早苗ちゃんが穿いていたおむつがすごく気になるし、私も穿いて早苗ちゃんと一緒に遊びたい。
早苗ちゃんに非は無いことは痛いほど分かっている。けれども、私の欲求は理性の壁を打ち破ることができなかった。
そして、「おむつは赤ちゃんや、おねしょしちゃう子が穿く恥ずかしいもの。それを趣味で穿いてる早苗ちゃんは頭がどうかしてる」という理性のままに、早苗ちゃんを罵倒してしまった。
「私・・・、どうしてさなちゃんにひどいことを・・・」
この時私は、初めて自ら親友に放った毒舌を呪った。
早苗ちゃんはきっと、今の私の発言で激怒したに違いない。
早苗ちゃんはお姉ちゃんのようなゆったりと構えた性格だから、悲しみしか表情に表さなかっただけで、本当はものすごく怒っているに違いない。
ガチャ・・・
バタン!
早苗ちゃんの部屋と、玄関から、2回続けてドアが開いたり閉まったりする音が聞こえた。私は慌てて自室から飛び出し、家中を探した。
しかし、早苗ちゃんの姿はどこにも無い。早苗ちゃんの部屋に入ってみる。例のタンスをすべて開けて調べたが、おむつどころか、パッケージすらも見当たらなかった。
私の両目から、急に涙がこみ上げた。
「ふえぇ~ん・・・、さなちゃぁ~ん!」
私があんなに気になっていたおむつ・・・。しかし、早苗ちゃんは私の発言に怒って、全部捨ててしまったのだろう。あの時素直に早苗ちゃんの誘いに乗っておけばよかった・・・。
『おむつ遊びは楽しいわよ。穿いてみなよ。』
私のおむつに対する興味は、元をたどれば、早苗ちゃんと同居し始めた頃、彼女がふと私に話した言葉だった。
すごく単純だけど、私にとっては聖書級に重要な言葉だと思った。
だが、私の理性は、率直に彼女の誘いを断ち切ってしまった。それどころか、おむつ好きの人のマイノリティを指摘するという、おむつ好きの人にとっては致命的なことを言ってしまった。
今更訂正しようと思ってももうできないだろう。後の祭りだ・・・。私は泣きながら、自分の発言を恨んでいた。