出て行ってから20分程度で、私は自宅に帰って来た。すると突然、夏子ちゃんが私のもとに歩み寄ってきた。
外が寒いわけではなく、普段はリビングから「お帰り~」と言うだけだったので、なぜ歩み寄ってきたのかが分からなかった。
「さなちゃん!あの・・・、そのぉ・・・」
「ん?どうしたのなっちゃん?」
「さなちゃん・・・、私・・・」
「恥ずかしがらずに言ってごらん?私怒らないから」
「さなちゃん・・・、私・・・、おむつ、穿きたいの!」
驚いた。夏子ちゃんがおむつを穿きたがっていることは知っていたが、まさかここで口に出すとは思わなかった。
しかし、今日の夏子ちゃんの発言には、おむつ好きとして目に余るものがあった。
彼女におむつを穿かせてあげる前に、まずはその点について問い質さなければならない。
私は言ってしまったからには、思ってしまったからにはやり通すという『一貫性』の無い支離滅裂な人間が大嫌いだ。
昔から冗談が通用せず、本気で口喧嘩をした経験もある。私は夏子ちゃんの言動と思考、行動の一貫性の無さを、そんなに手厳しくはできないが、親友として説教してあげなければならないと感じた。
「ねぇなっちゃん、本当におむつ穿いてみたいの?」
「・・・うん!」
「でも、あなたは私にひどいことを言っちゃったわよねぇ。その後私は外へ出たわけだけど、どうしたか分かるかなぁ?」
「・・・持ってたおむつを全部捨てた」
「うーん、大体合ってるけど、私は無駄にするのが嫌いなの。だから、ごみ捨て場に捨てたんじゃなくて、全部リサイクルショップで売ったわ。
私やあなたみたいな『頭のおかしな子』のためじゃなくて、本当に必要だけど、お金の無い子たちのために。もちろん使いかけだったから、大したお金はもらえなかったけど」
「あううぅ・・・」
「じゃあ、何が私におむつを手放させたのかなぁ?」
「『さなちゃん!それはあまりにもおかしすぎるよ!第一布のパンツより紙おむつの方が気持ちいいだなんて、頭おかしいんじゃないの!?』」