その後、「おねしょをした」ということで、未紗ちゃんやあかねちゃんにもいじられてしまった私。
背が高く大人っぽい印象を受けるスタイルと、子供っぽいおねしょのミスマッチが、彼女らの美味な餌となってしまったのだろう。
だが、彼女らは本気で私を蹴倒そうと思って私をいじっているわけではなかったようだ。
大学生にもなれば、他人を思いやる心も自然とつくのだろう。
私も相手のいじりを素直に受け止めて、反発はしなかったものの、
「本気で私を蹴倒そうとしているのではないか」
と思ってしまった時点で、私のちんけな心が露出してしまっているのではないのだろうか。どちらにせよ、私の負けだ。
「でもねぇ、早苗ちゃんがおねしょしちゃうの、何となく分かると思うよ。同じ1回生だけど、小集団ではいつもみんなをまとめて引っ張ってくれてるもん。
疲れておねしょしちゃうのはしょうがないよ。未紗、何も頑張ってないのに、おねしょしちゃうこと、あるんだもん」
ふと、未紗ちゃんが私をフォローしてくれた。その言葉にあかねちゃん、香菜ちゃんも続いて、
「そうだよね。勉強もバイトも二人暮らしも頑張ってる早苗ちゃんを、おねしょのことでいじめるのは論外だよね」
「うんうん、そう考えたら、私たちより早苗ちゃんの方がすごいよ。
あたしなんかママからもらったお金、たった2か月で全部おむつに使っちゃったし。最近おねしょもし出したし。もう赤ちゃん返りしちゃうのも時間の問題かも・・・」
香菜ちゃんの口から飛び出した、意外な発言。
おむつ大好きで有名な香菜ちゃんが、おむつ好きが高じすぎておねしょを再発してしまうという話。
好きでおむつを続けているのも、悪いことなんだなと私は思った。
だが、そんなリスクを打ち消しても余りある楽しみがあるからこそ、香菜ちゃんは問題を嘆きながらも、こうしておむつを楽しんでいるのではないか、とも考えることができた。
「もう一度、おむつ穿いてみたら?今日のおねしょ、無理やりおむつを忘れようとしたからしちゃったんじゃないの?」
「これ以上無理したら壊れちゃうよ、早苗ちゃん」
香菜ちゃんから私のおねしょの本当の理由を射抜く発言が出た。
確かに私のおねしょは、前日夏子ちゃんの発言に腹を立てて、無理やりおむつから離れようとしたのが原因なのかもしれない・・・。
「あと、夏子ちゃんと仲直りするのも忘れずにね」
「もう仲直りするよ。夏子ちゃんに迷惑かけて、その時の発言にいちいち腹を立てて、無理やりおむつから離れようとして、挙句の果てに2人揃っておねしょなんだから。
夏子ちゃんと仲直りしたいわ。仲直りして、2人でおむつするの」
「そうだよ。頑張って、早苗ちゃん」
香菜ちゃんにはこってり絞られたけど、逆におむつ好きとして大事なアドバイスをしてくれたし、最後は励ましてくれた。これを無駄にはしたくない。
だから、もう夏子ちゃんと仲直りする。そして今度は、2人でおむつを楽しみたい。