夏子ちゃんに連れられてついた先は、私でもたまに立ち寄る100円ショップだった。頭文字『D』で始まるこのブランドは、おねしょが治っていなかった頃からよくお世話になっていた。
昔はオレンジ色と黄色という奇妙な地色にでかでかと『100円ショップ』と書かれた派手な看板が印象的だった。
だが、久しぶりに見たその店舗は、名前こそ変わっていないながらも、看板の色はショッキングピンクというこれまたド派手な色となっていた。
ただ、100円ショップの文化が確立、定着したのか、あの頃ほど安いことを強調する表記は無くおとなしめだ。こんな店の中に、本当におねしょ対策の商品が売られているのだろうか?
「あ、これこれ!」
「え?こんなところにあるの?」
そこは私も普段は一切入ることがない陳列棚。入ってみると、夏子ちゃんはすぐにお目当てのものを見つけた様子。
「さなちゃん、これだよ。一晩中私とさなちゃんのおねしょからお布団を守ってくれたの」
「なんだ、おむつじゃん。でも、大人用だよね?それに1リットルもおしっこを吸うなんてすごいなぁ・・・」
私はびっくりした。大人用ではあるが、こんなところにこんな高性能なおむつが売られているとは思わなかったからだ。
しかもこんな高いスペックで、価格は1袋たったの税抜100円(+消費税)。
おむつ本体こそは1袋1枚だが、パッドは通常サイズが1袋4枚、お尻の部分の吸収体が広いワイドパッドは1袋3枚、そして夜用のロングパッドでも1袋2枚と意外にもお得。
ロングパッドならおむつ2袋、パッド1袋で一夜ののおねしょ2人前は大丈夫だ。そしてこのおむつの最大の特徴は、何と言っても1枚から状況に応じて買える自在性とコストパフォーマンスだ。
おむつとパッドを合わせて表記上の総吸収量は2リットルオーバー。さすがに一晩中に2リットルを超えるおねしょなど聞いたことがないので、これを着けておけば、装着ミスによる隙間モレ以外は大丈夫だろう。
「すごいなぁ・・・、これ。1日分から買えるんだって。なっちゃん、どれぐらい買う?」
「んー、とりあえず1週間分買っとこうよ」
私は夏子ちゃんと相談の末、とりあえず1週間分を買うことにした。おむつとパッドを合わせて税抜2100円(+消費税)。
無駄も無いし、おむつとパッドを合わせてこのお値段。普通のドラグストアで買えば、別々のパッケージなので倍以上はするだろう。
ただ、私たちのおねしょが1週間で終わるという確約は無いし、それ以上続く場合はドラッグストアでまとめ買いする方が安くなるかもしれない。
だが、私たちはもう既に、重くてかさばる子供用の紙おむつという名のおもちゃをすでに3袋手に持っており、楽天やアマゾンといった通販は怖いので、今後も継続して買うことは確かだ。
そのため、おねしょ対策用の大人用おむつなど、重くて運んでいられないということもある。その点、普通のレジ袋もしくは、余裕があればカバンに入れて持ち帰れるこのおむつは非常に便利だ。
「ねっ、買ってよかったでしょっ?」
「うん。確かに、100均のおむつって、安くて便利で、無駄も無くていいわ♪」
「夜のおねしょをいっぱい受け止めてくれたんだよぉ♪これだけあれば安心だね♪」
何だかとても頼れそうな気がした。