荷物が多すぎて食料品の買い物はできず、レストランでの昼食も夏子ちゃんが恥ずかしがって嫌がったためできず、私たちはとりあえず一旦自宅に帰ることにした。

そしておむつを置いた後、改めて外出し、食料品の買い物と昼食を済ませて再び自宅に帰って来た。

「ねぇ、なっちゃん。今日は暇だけど、何しようかしら?」

「おむつ遊びに決まってるじゃん♪」

「あはは、そうだったそうだった」

私は夏子ちゃんと一緒に、おむつをすべてリビングに運んだ。

誰も来ないのならばパッケージのままほったらかしにしても構わないが、ここには未紗ちゃん、あかねちゃん、香菜ちゃんといったおむつ好きの他、夏子ちゃんの友人も遊びに来る。

しかし、夏子ちゃんの友人にはおむつに全く興味が無い人ばかりなので、彼女らにおむつが見つかってしまうと大変なことになる。なので、私はおむつを隠そうと画策した。

「なっちゃん、やっぱり、おむつ隠そう。なっちゃんのお友達におむつ見つかったら、いじめられちゃうよ」

「うん。だけど、どうやって隠すの?私のお友達にはここでお泊りしていく子もいるから、押し入れだとすぐにばれちゃうよ!」

「だよね~」

確かに、押し入れは安全そうに見えて、意外と危険な隠し場所だ。私の友人は遊びには来るが日帰りで帰ってしまう。

しかし夏子ちゃんの友人には、不定期にここで寝泊まりをして、朝一緒に学校に行く人もいる。

なので、来客用の布団がしまわれている押し入れにおむつを隠すのは浅はかな考えだ。私はすぐに隠し場所の候補から押し入れを外した。

「じゃあどこに隠そうか・・・」

「う~ん・・・。あっ!さなちゃん、さなちゃんのお部屋にさ、タンスあるよね?」

「あるけど?」

「そこに何を入れてたの?」

「おむつ。それだけ」

「今はどうしてるの?」

「使ってない。あれも今売ろうかと考えてたところなの・・・、ああ、そうか!使ってないあのおむつタンスを使えばいいんだ!売らなくてよかったぁ」

思い出した。あの時おむつを全部捨てて以来、一切使っておらず、おむつと一緒に売ってしまおうかと考えていたあのおむつタンスが、今やっと有用であることに気づいた。

軽くて中は見えず、他のタンスやラックの上に乗せることも可能で、背が低く幅も狭いので誰が見ても小物ケースかと勘違いしてしまうあのタンスは、ここに来てからずっと、おむつ専用のタンスとして大活躍していた。

タンスの体裁話しているものの、小振りでタンスらしくないため、一般人にはあまり好感度の持てないものだが、おむつ好きとしては何一つ弱点の無い完全な家具であった。

軽く小さいが故に私一人でも運べた。これをリビングの小物ラックの上に乗せると、自室では異彩を放っていたものの、リビングでは景観に見事に調和した味のあるインテリアとなった。

久しぶりにタンスを開け、買って来たおむつを詰めてゆく。

小さな見かけの割には収容力は高く、買って来た大量のおむつが大人用(おねしょ用)も含めてすべて収納され、さらにオヤスミマンの背高パッケージでおよそ二袋分程度の空きもしっかり確保されていた。

「すごーい・・・、本領発揮だぁ♪」

正しく『本領発揮』である。