防犯カメラの映像を証拠として扱うかどうかは、俺に委ねられている。
管理人が監視、通報するという手もあるが、室内にも設置するため、プライバシーの関係上、すべて俺が管理することとなった。
ただし、侵入者を発見した場合はすぐに管理人のもとへ通報してほしいという取り決めはある。
実のところ、俺は自宅に侵入される被害は受けているが、室内を荒らされたり、盗まれたりはしていない。見知らぬ品物が置かれているだけなのだ。
そのため、通報はしなくていいのではないかと思っている。不愉快だが、別にそれ以上ひどいことはされていないわけだし。
だが、このことを報告した時、管理人は大げさな口調で、
「何か品物が置かれているといっても、それは爆弾かもしれない。危険だから触っちゃダメだぞ!」
と注意された。申し訳ないが、俺としては大きなお世話だ。
その後、防犯カメラ設置の効果が大きかったのか、それ以来侵入された形跡は無い。
犯人は侵入すると、必ず何かを置いていくことは分かっている。そのため、来たか否かは簡単に分かる。
返って自宅を確認しても、新たに品物が増えた形跡も無く、俺たちの完全勝利かと思われた。
だが、スマホから防犯カメラの映像を見ていて気になることが1つある。
いつも俺の家の前で誰かがうろうろしているのだ。ありがたくも迷惑なラッピングで包んだ品物を持って。
しばらくうろついていたが、突然体をビクンとこわばらせると棒立ちになり、しばらく固まっていた。そして、そいつはひどく落ち込んだ様子で引き上げていった。
侵入者とは思えないほど長く、左右に分けて結ばれた髪の毛をなびかせて。
「何だこいつ・・・。何で俺んちの前でうろついてんだ?まさかこいつが、例の侵入者!?
でも、こいつ間違いなく女だよなぁ・・・。髪長いし、お下げだし」