だが、カメラの効果があったのはたったの数週間だけだった。何週間か経つと、あいつが再び自宅に侵入してきたのだ。

カメラの効果を過信していた俺が馬鹿だったとしか言いようがない。

明日以降は、忘れず定期的に自宅の様子をチェックしようと決心した。



そして授業が終わり、途中でかねてから考えていた晩飯の材料を買い揃えて自宅の前まで帰って来る。

その時、街角でよく見かけるようなTシャツとジーンズに身を包んだお下げの女子が、俺が通ってきた階段とは別の、エレベーターがある方向へと走って逃げて行くのが見えた。

急いで追いかけようとしたが、食材を持っているうえに、相手の足がものすごく速かった。追いかけることもままならず、歯がゆい気持ちで自宅の鍵を開けた・・・、つもりだったが・・・。



ガチャッ



「チッ・・・!全く、何で俺んちばっかり狙うんだよあの女!」



ガタンガタンガタン!



「おい!何だよ!?開かねぇじゃねぇか!

まさかあいつ・・・、鍵閉めねぇで逃げやがったな!」



本当は鍵は開けっ放しだった。だが、これまでは侵入されても鍵は閉まっていた。きっとあの女が家から出る時、きっちりと鍵を閉め直していたのだろう。

だが、今回は俺に見られたことに気づいたのか、鍵も閉めずに逃げ出してしまったようだ。



「全く、迷惑なヤツだ!」