「・・・おい。
お前何で勝手に俺んちに入って来てんだよ?」
開口一番、俺は侵入者を問い質した。
「あのぉ・・・、その・・・、忘れ物、取りに・・・」
「忘れ物?ああ、これのことか?」
相手が忘れ物を取りに来たと言ったので、俺は昨日送り付けられた、おむつの入った紙袋を差し出す。
すると、相手はばっと紙袋を俺から奪い取り、胸元でしっかりと抱き寄せながら俺の方を見つめた。
頬全体を、十分に熟れたリンゴのように真っ赤に染めて。
「ごめんなさい・・・。ホントに、ごめんなさい・・・!
うわあぁぁん!!」
相手は突然俺に謝罪したかと思うと、そのまま泣き出してしまった。
質問に答えていないことに腹を立てながらも、突然のことなので慌てふためきそうになってしまう。
だが、俺は何とか冷静を保った。ここで動揺してしまったら相手の思うつぼだと、俺の頭が働いたのだろう。
「悪いけど、お前は俺の質問に答えてねぇぞ。ちゃんと答えろ。お前はどうして勝手に俺んちに入ったんだ?」
これでもかなり冷静で、手加減した言い方だ。冷静になっていなければ、はるかに暴力的な言葉遣いになっていただろう。
泣きわめいていた相手は、涙をこらえて口を動かした。