その時、自宅のドアホンのチャイムが激しく鳴り響いた。玄関の方からは、扉を乱暴に蹴っているような音も聞こえる。
「怖い・・・。お兄ちゃん・・・、助けて・・・!」
ふと相手が、俺に助けを求めてきた。理由は分からないが、俺のことを『お兄ちゃん』と呼んで。
俺はまず、アプリで監視カメラの様子をチェックした。
「こいつらか・・・」
ドア前のカメラが映していたのは、たばこを吸った3人組の女子高生だった。時々「開けろ!」と怒鳴っているのも見える。
相手の気弱さにつけ込んで、犯罪行為をさせて笑うこいつらが、俺は許せなかった。
扉を開ける。3人は一斉に俺の方をにらみつけてくる。
「何よ!出しなさいよ!北村、中にいるんだろ?」
「はぁ?北村?俺はそんなヤツ知らねーな!」
突然相手が名前を出してきたので、俺は白を切るしかなかった。侵入者は名前など一切名乗ってこなかったからだ。
「とにかく出しなさいよ!」
「待て。あいつは犯罪を犯したんだ。警察に引き取ってもらうつもりだ」