しばらくの間、重い雰囲気が俺たちを取り囲む。普通の警察署の一室だというのに、殺人犯の取り調べでもないのに、この部屋の中だけ重力が異常に強く感じられる。

俺の心は、そんな重力に押しつぶされることが嫌で、一刻でも早くここから脱出したくて、もがき苦しんでいる。



そんな重々しい重力が一気に抜いたのは、警官が言い放った、一つの宣告だった。



「とりあえず、初犯、犯行は住居侵入のみ、窃盗なしということで、我々は逮捕しない方向で検討させていただきます」



彼女は逮捕されなかった。だが、彼女と女性の顔は未だに固まったままだ。女性が尋ねる。



「すみません。学校の方へはどうされるのですか?」



警官はにっこりと笑って話した。



「この子の件に関しては、学校には連絡しないつもりでいます。ちょっといたずらが過ぎましたけど、あの3人はもっと悪いことをしていますから。

でも、反省はしていただきたいですね。他人を不快な気持ちにさせてしまったのですから」



「皆さん、本当にすみませんでした!!」



「私からも、この度は、娘が警察沙汰になるようなことをしてしまい、誠に申し訳ありませんでした!!」





彼女の住居侵入に関する取り調べは、とりあえず終了した。