私の母親は、少しおかしい。

私の名前は西条 恋歌。今年で17になる高校1年生だ。そして、私の母の名前は西条 明華。今年で35になる専業主婦。

この母親、少しおかしい。

どうみても10歳くらいにしか見えないとか。

なぜか宝くじや懸賞を当てまくるとか。

昔このあたりを仕切っていた暴走族の頭だったとか。

まあ、これくらいは笑ってられるレベルである。問題は、この母親、なぜか下着がおむつなのである。恥ずかしいったらありゃしない。それも周りにばれていないのも驚きだ。普段から使用しているくせに、誰にも気づかれていないのだ。

 

休日になると、どちらが母親かわからなくなる。父親は海外に出稼ぎに行っているため、休日は私と母の2人きり。8:00。起床。私が起きると既に洗濯物は干してあるし、朝食もちょうどいいタイミングで用意してある。だが、まずこの母親の第一声は決まっている。

「恋歌ちゃん。おむつ換えてぇ」

なんとも舌足らず。それもスカートとエプロンをめくっておむつを見せながら甘えている。

「はいはい今換えますよ」

なぜ子供用の紙おむつがフィットしているかはいまさら聞くまい。私はいつものごとく換えのおむつを用意し、汚れたおむつを脱がした。ずっしり重たいそれを丁寧に丸め、専用のごみ箱に捨てる。

「すーすーするわね」

この母親、毛が生えてない。自分で剃ったのか元から生えてないのかなど、私は知らない。ともかく赤ん坊のようにつるんだ。その母親の秘所を丁寧にウェットティッシュでふく。

「ひゃんっ!」

わざと声を出している気がする。それを無視して私はおむつを履かせた。というか、自分で履けるでしょ。母親は念入りに履き心地をチェックした後、手を洗い朝食が始まる。悔しいほどに、むちゃくちゃうまかった。そのあと片づけを私がやり、掃除を母親がやる。とてとて動くその姿は子供のお手伝いにしか見えない。片づけ終わるとと私部屋に籠り音楽を聴きながら勉強をやり始める。昼食前におむつを換え、昼食を済ませると、ちょうど来客が来た。私がドアを開ける前にその人物は入ってきた。

「お、お邪魔します!今日から3日間、お世話になります!」

いとこの由加里だった。今年8歳になる小学2年生。今日は彼女が1人で泊まりに来る日だ。私の叔父が外交官で、叔母さんは今日、その伯父さんの元へ様子を見に行っている。そのため、その間私たちが預かることになっていたのだ。

「じゃあいつものところに荷物を置いたらリビングまで来て。あ。お昼は食べたかな?」

「大丈夫です。食べてきました」

こちらもとてとてと歩いて行く。私が先にリビングに戻ると、母親は髪をとかしていた。栗毛の髪がちょっとぼさぼさしていたのをストレートに直す。腰まで届くほど長い髪は私にとってはちょっとうらやましい。ちなみに私は金髪(染めてる)のショートボブ。

「お待たせしました!」

由加里がリビングまで来るといった母親の第一声。

「おお!同志よ!」

頭を抱えそうになった。母親はその華奢な体からは想像もできな瞬発力で接近し、由加里ちゃんのすぐそばまで来た。

「今日はどんなのつけてきたの?」

由加里は恥ずかしそうにスカートをめくった。そこにはうちのと違うメーカーの紙おむつがあった。そう、由加里は未だにおむつが取れていない。本人は恥ずかしがっているみたいだが、母親は仲間に引き込もうと躍起になっている。

「きゃー。とてもぷりちーよー!」

今度は母親がスカートをめくり、おむつを見せびらかす。正直、こちらが恥ずかしい。それから1時間ほど2人はおむつ談議で盛り上がっていた。どっちかというと母親が一方的に話しているのがメインで、由加里はそれにたじたじになっている。私に至ってはまったくもってついていけない。夕方の買い物は3人で行くことになった。一番緊張するところだ。私以外はおむつ。ばれるのではないかと冷や冷やさせられる。

「早く行かないとタイムサービスに遅れちゃおうわよー!」

短いスカートで走り回る母親。正直見てて痛い。年考えろ。スカートから見えるってば。私が呆れていると、由加里も同じように苦笑いした。「これじゃどっちが保護者かわからないわ」私が由加里に話しかけると、

「けど、友達みたいに仲がいいですよね。明華さんと恋歌さんは。羨ましいです」

その言葉に私は手を振って否定する。

「そ、そんなんじゃないってば」

「そうですよ。あ、待ってください!」

「お母さん先に行きすぎ!」

 

 夕飯も終わり、片付けも終わった。次はお風呂だ。夕飯前に換えたばっかだから、2人のおむつはまだ汚れてはいなかった。みなんでいそいそと服を脱ぐ。私が下着姿になる頃には、2人はおむつ一丁だった。

「あっ…」

由加里が切ない声を上げた。ももが小刻みに震え、顔が紅潮していく。両の手が空を泳ぐ。そのまま手を胸に戻し俯いた。おむつの下のほうが黄色く染まっていく。

「でちゃったの?」

私が聞くと由加里は恥ずかしそうに頷いた。私はそのままおむつを脱がす。まだ温かみを残したそれは、独特の匂いを発していた。

「ごめんなさい…」

泣きそうになる由加里を母親が抱きしめる。

「謝る必要はないわよ。できないことは、無理する必要はないの」

その母親の股の部分がみるみる黄色に染まっていく。

「私もこれでいっしょよ」

こういうときだけ、母親っぽく見えた。

「で、布団が3つ敷いてあるのよ?」

「せっかく由加里ちゃんが来たんだし、3人仲好く寝ましょうよぉ」

「えっと…1人でも十分ですから…」

すでにパジャマに着替え終えた母親は布団に潜り込み、虫のように包まる。私はもう諦めて布団に入った。由加里もそれに続く。

「そぉい!」

途端に母親が私の上に乗ってきた。

「重い!重いって!」

「あら!私は標準体重よりずっと軽いのよ!」

「そりゃそうでしょ…」

そのまま母親は私と由加里の間に収まる。

「これで川の字!」

母親はそのまま寝に入る。由加里もそれと同じように寝に入った。疲れた。私も寝に入ろうとして、あることに気づく。

この2人、同時におねしょしてる。

なんとなく微笑ましい気持ちになりながら眠る。明日はもっと忙しくなるだろう。2人のおむつ換えだけでも手いっぱいになるかもしれない。けど、実は楽しんでいる自分がいる。

なぜかって?私の志望は保母さんだから。結局今やってることと変わらないんだよね。