神様の世界が幻想のものとなって、我々は科学と物理の世界を構築した。いまや人間は、この世全てのものを解明しようとしている。馬鹿げた話だ。なぜかって?
どんなに他の物を解明しようとも、人間の心は、永遠に解明できないという矛盾を孕んでいるからだ。
日本から帰国し、1週間が過ぎた。帰ってきた私を待ちうけていたのは、大学の講義と研究によって、大学に缶詰にされる毎日だった。机に磔にされ、黙々と論文を打ち続ける。
そんな私の密かな楽しみは、あのゲームだった。文章に詰まったり、気分転換したいときは、ゲームをつけるのだ。大半はゲームの中の状況を眺めているだけだったが、時折コロンが現れては、私と他愛もない会話をした。
「ねぇねぇ…シオンはどんなおむつ…つけてるの?」
コロンの質問は無邪気なもので、私の身の回りのことが多かった。
「そうだね…基本は布だけど、紙も時折使うよ」
「紙?紙は水で解けちゃうよ?」
「こっちの世界の魔法でね。紙でもおむつが作れるようになってるんだ」
コロンの世界観に合わせるように、話を持っていく。コロンは常々不思議そうにするが、それなりに納得しているようだ。
「シオンはもう学校終わったんだよね」
「ああ。一応先生…かな?」
「すごいなぁ…あたしも早く大人になりたいよぉ」
純粋な視線が、画面越しに注がれる。少し照れくさくなって、そっぽを向きながら言った。
「そんなことないよ…こんな体だし…」
無意識にオムツを触ってしまう。先程の講義で濡らしたおむつのままだったので、秘所には生温かい、濡れた感触が染み付く。さらに、触ったせいでそれを自覚し、余計に顔を赤くしてしまった。
「ひゅんっ!」
コロンが小さな悲鳴を上げる。咄嗟に手をスカートへと伸ばし、股間へと押しあてた。その様子で何が起きたかわかり、
「ごめん。びっくりさせちゃった?」
と声をかける。コロンは顔をふるふると横に振り、頬を少しだけ赤くしながら「もうおしっこ出ちゃったのかなって、思っただけ」と応えた。それでも気になるのか、少しもじもじしている。何かお詫びをしたいが、このゲームにはプレゼント機能がないのだ。
「…そうだ!」
私は妙案を思い付き、思わず声を出してしまう。コロンは「うわわっ」と私の声に驚き、目を丸くしてこちらを見ている。
「ちょっと…待ってね」
私は研究室の端に置いてあった袋を引っ張り出し、確認する。大丈夫。まだ残ってる。
「あれ?シオン?どこいっちゃったの?」
コロンの心配した声が、ディスプレイから聞こえる。その時、コロンの感情も流れ込んだ。心配半分、興味半分といった感情。私はそんな子供っぽいコロンの感情が、とても気に入っている。
カバーの紐を解き、ホックをはずし、前あてが開かれる。アンモニア臭が、部屋に立ち込めた。ぐしょりと濡れたおむつの股の部分はすでに黄色く変色している。腰を上げると、蜜がつるりと糸を引いているのが分かり、私は顔をさらに赤くした。
「んっ…!」
今度はコロンに私の感情が流れ込む。私は申し訳ないなと思いつつも、手早く自身の秘所やその周辺を拭き、おむつをいつもどおりに水の入ったバケツに入れた。そしてカバーを一度研究室の机の上におき、先程の袋からあるものを取り出した。それはパンツ状になっており、私はそこに足を通しておへそまで上げる。ずれていないかを確認し、普段高いところのものをとるために使う踏み台を、ディスプレイの前までもっていき、その上に立った。
「コロン?見える?」
「うん…見えるよ?…ってそれ、なに?」
コロンの不思議そうで、興味深げな声。その反応を見れて上出来だ。私はあえて感じやすいように股の部分を押さえる。ソレ特有のごわとした感触。久しぶりの感触に、私は身震いした。
「ひゅんっ…何これ?不思議…」
コロンはまた股間の押さえ、その感触の正体を探っていた。私は早々にネタばらしする。
「これが、紙おむつだよ」
ピンク地で可愛らしいイラストがお尻に描かれた、日本製の紙おむつ。私はそれをコロンに見て、感じてほしいと思って、穿いた。
「ふーん…これが、そうなんだぁ…」
コロンは感慨深げに見て、感じていた。その仕草が、やっぱり可愛らしい。その時、コロンの体がふるふると震えた。
「あっ」
切ない声を上げ、股間を強く押さえる。それは連動して私も感じ、そして、
しゅわぁぁぁぁぁぁ……
水音と共に、おもらしを始める私とコロン。おしっこは吸収体に触れ、すぐさま吸収される。紙おむつの股の部分とおしりが重くなり、温かくなるのを感じる。
「……ふぅ…でちゃったぁ」
コロンが大きく息を吐いた。最後に大きく震える。最後のおしっこを絞り出したのだろう。そして、押さえている股の部分から、こちらの紙おむつの感触を味わう。
「さっきと全然違う…ふよふよした感じ…それに…温かい」
気持ちよさげな声に、一瞬どきりとしてしまった。穏やかな顔。それを見ただけでもうしばらくは、このままでいいと思った。
歯車は、少しづつ動き出していた。