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 「キミ、優しい子だよね。さっき追われてた時、キミの目を見てわかったの」
 驚きはしたけれど、なんでそんな事を言うのかも聞けないまま、ぼくはその女の子の目に吸い寄せられていた。

 ぼくより大きいお姉さんだという事はわかるけど、大人にも見えない。
 その子の黒髪は何年も切っていないかのように長く、そして荒れていて、足の鎖と同じように普通じゃない感じがした。

 「お姉ちゃん、誰なの?」
 「私?うーん、そうね。魔法使い、かな?」
 ちょっと考えた後の答えは結局不思議なものだ。

 「あの人たち、魔女狩りよ。今じゃ魔女っ子といえば人気者って決まってるのに、時代遅れな連中ね」
 不意に吹き込んだ風に乗って、路地裏に紙くずが舞う。
 お姉ちゃんはその一枚を二つの指で摘み取ると、それは魔女っ子アニメのぬいぐるみショーの広告だった。

 それは指をパッと離した途端に、一瞬現れた火の玉で灰も残さずに消えてしまった。

 「それが…魔法?」
 そう尋ねるぼくにお姉ちゃんはうなずいたけれど、僕はその『魔法』を見た事があるし、お父さんに正体も教えてもらっていたんだ。

 兵隊さんのトランスヒューマンだけが使える、超能力。
 …ぼくのお姉ちゃんも使える、人を傷つける『魔法』。

 「悪い人が来ないところに行きたいの」
 お姉ちゃんは、小さな火の玉の軌跡で猫の絵を描きながらぼくに言う。
 「やさしい男の子、手伝ってくれるよね?」
( シュージ / 10/01/23(Sat) 01:41 )