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 「……うん、お兄さんの言うこと、聞くよ」
 どっちにしろ、このまま迷ってたら大人の人が来ちゃうもの。
 早く片づけてここを出なきゃいけないんだ。
 「約束だぞ?よし、早く掃除しちゃおう」
 僕はそれにうなずくと、お兄さんと一緒に急いでベンチをきれいにしたんだ。
 ベンチを拭いて、おむつをビニール袋に入れて外に出ると、ちょうど入れ違いで誰かが待ち合い所に入っていった。
 怖そうな男の人で、悩んでたらきっと怒られちゃったんだろうな。

 「お前、今から俺の家に来いよ。このすぐ近くだからさ」
 待ち合い所から出て少し歩いたところで、お兄さんがそう言った。
 言うことを聞くって約束したし、このまま別れちゃうわけにもいかないから、僕はこんどはすぐに答えた。
 「うん……行くよ」
 ちゃんとは遊ぶ約束をしてたわけでもないし、今日どうしても行かなくちゃいけない事もない、よね?
 それに、約束をやぶったら、どうなるかわからないもの。

 お兄さんの家は本当にバス停の近くで、大通りからちょっと外れたマンションの1階にあった。
 「親は休みでも仕事で居ないからさ、一人で退屈してるんだ」
 部屋に入れてもらった僕の後ろで、お兄さんが鍵を閉めながらそんな事を言った。
 「だから、僕と遊ぶの?」
 「そうだよ。それに、ちょっと興味があってさ。お前、トランスヒューマンだろ?」
 「うん、そうだよ」
 僕は、耳としっぽを大きく動かしてみせた。
 ねこの耳としっぽがあったり、羽が生えてたりする人の事をトランスヒューマンって言うんだって、パパに聞いたんだ。
 「おお、飾りじゃなくて本物なんだな。テレビ以外じゃはじめて見たよ」
 なんだかお兄さん、目がかがやいてるみたい。
 「じゃあ、ジュースか何か持ってくるからさ。そこのベッドにでも座ってて」
 そう言って、お兄さんはドアを開けてどこかに行っちゃった。
( シュージ / 08/03/06(Thu) 00:51 )
A. 部屋を見回す