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【登場人物】


 


莉緒 好奇心旺盛な中学2年生


結衣 莉緒の親友で、同じ吹奏楽部に入っている。


 


 


「結衣ぃ、早く部活行くよ!今日は合同練習だから、遅れるとヤバいって!」


 


「わかってるよぉ、ちょっとトイレくらい行かせてよ」


 


莉緒は結衣を急かせながらも、ちゃんとトイレの前で待っていた。


 


「遅いよ結衣!トイレで何やってたの?」


 


「今日アレの日だから…」


 


「そっか、ごめんね」


 


思春期の女の子に少々恥ずかしいことを聞いてしまった莉緒は顔を赤らめて結衣に謝った。どうも、中学2年生くらいだと、こういう話題はタブーだと思っている節があるものだ。


 


「別にいいよ、それより今日は急いで部活行かないとダメなんでしょ!」


 


「そうそう!」


 


そう言うと、二人は急いで吹奏楽部の合同練習の部屋までたどり着いた。部屋にはまだ先輩が数人来ているだけで、かたまっておしゃべりをしていた。


 


「こんにちは!」


 


二人が元気にあいさつすると、各々の先輩が愛想良くあいさつを返してくれた。すると、後輩にもざっくばらんな先輩が話しかけてきた。


 


「ねぇねぇ莉緒ちゃん、女子トイレの噂って知ってる?」


 


2年間通ってる学校だが、莉緒にはそういう類のものを聞いた覚えはない。


 


「いえ、聞いたことないですけど…。結衣はある?」


 


結衣に話を振った莉緒だったが、結衣も知らないようだった。


 


「噂って何ですか?」


 


莉緒が聞くと、先輩はニヤッと笑って、「聞きたい?」と発破をかけてきた。


 


「怖いのでなければ…」


 


莉緒は怖いのが苦手だ。小学生の頃は、兄の悪ふざけで家のトイレにはお化けがいると信じ込まされ、夜に一人でトイレに行けなくなったことがある。


 


「全然そんなんじゃないよ!」


 


「それなら知りたいです!」


 


好奇心の強い莉緒は、早速先輩の噂話に加わったのだった。


 


  


「私の友達が、この前アレの日だったらしいんだけど…」


 


ちょうどさっきそのことで恥をかいた莉緒は、ちょっと複雑な気持ちになった。先輩はそんなことは無視して、話しを続けた。


 


「ナプ交換して汚物入れに入れようとしたら、なんか見つけたんだって」


 


先輩の噂話を聞いている他の人たちは、えぇ〜とか、何?と怪訝そうな表情で続きを催促している。その時、莉緒には、それが何か全く想像もできなかった。


 


「最初は、白くてゴワゴワしたものだったから、前の人が捨てたナプだと思ったらしいんだけど、どうやら大きさがナプじゃなくて、なんか可愛いイラストが入ってたんだって」


 


周りの人もまだそれが何か気付かないようだ。莉緒は思いつきで、「汚れたパンツとか?」と言った。


 


先輩はちょっと驚いた表情で、「ブ〜、でも良い線いってるよ!かなり近いかも」と笑いを含ませて言った。


 


「実はね…、それはね…」


 


先輩は勿体をつけて、なかなかブツの正体を明かそうとしてくれない。他の人たちも、「早く言ってよ〜」と、聞きたくてしょうがない様子だった。


 


「分かった、言うよ!それはね、ムーニーマンだったんだって!」


 


「へ??」


 


莉緒を含めた、先輩の話を聞いていた数人が一斉に、なんのことかわからないような顔をした。


 


「ムーニーマンだよぅ!ほら、たまにCMでやってるじゃん、赤ちゃんが履くやつ…」


 


「それって紙おむつだよね?」


 


誰かが言うと、先輩も「それそれ!おむつがあったの!」と的を射たとばかりの表情で大声を出した。


 


 


 


 


周りもようやく理解したようで、「えぇ〜」とか、「あり得ないよね」とお互いに言いあっていた。莉緒自身、そんなことってあるんだって、他人事のように思っていた。先輩の話にはまだ続きがある。


 


「それでね、一回だけならまだしも、何度かトイレでムーニーマンを見たことがあるんだって。しかも全部同じトイレの同じ個室で。これってさ、もしかして校内に赤ちゃんの幽霊がいて、夜な夜なおむつ交換してるんじゃないかなって思うの」


 


そこまで言うと、周りの子たちも笑いだした。


 


「そんなわけないじゃん!普通に考えたら、誰か生徒でおむつ使ってる子がいるってことでしょ!何百人もいるんだから、一人くらいそんな子もいるんじゃない?」


 


他の子たちもその意見に同意らしく、うんうんと頷いている。


 


「じゃあさ、これはどう説明する……」


 


まだ続くのかといった表情を見せたところで、吹奏楽部の顧問が部屋に入ってきた。莉緒たちは話に夢中で気付いてなかったが、他の生徒もほとんど揃っており、合同練習の準備ができていた。


 


先輩は私にウィンクをして、小さな声で「続きはまた後でね」と言って、自分のパートのところへ走っていった。今気付いたことだが、結衣は全くといっていいほど、先輩たちの噂話に加わっていなかった。それどころか、自分の楽器の準備に集中はしていたものの、少し調子が悪いようにも見えた。


 


莉緒は合同練習中の合間に、結衣に尋ねた。


 


「ねぇ結衣、今日はどしたの?なんか調子でも悪い?さっきの先輩たちとの輪にも加わってこなかったしさぁ」


 


「うぅん、ちょっとね…、まぁ、アレの日ってのもあるかも」


 


少し顔を背けるような仕草をして結衣は答えた。


 


「そっか…」


 


それを言われると莉緒は深く突っ込めななかった。3時間にもわたる厳しい練習を終えた後、莉緒と結衣の二人は帰りの準備をしていた。


 

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コメント一覧

ゲスト   投稿日時 2011-6-11 17:01
おもらしははずかしいこと。でもおむつをつけることには意味があると思う