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「じゃあ、外すからな」
お兄さんが紙おむつのテープに手をかける。 「うん……あれ?」 ふと窓を見たら、みおぼえのある人影が見えたような気がした。 僕の様子が気になったのか、お兄さんも手を止める。 「どうし……うわっ!?」 大きな音がして、突然窓ガラスが砕け散った。
同時に飛び込んできた何かがお兄さんの額を直撃する。 「痛っ!なんだ!?」 床に転がり落ちるそれは、ジュースの缶くらいの大きさで、端からL字型の取っ手みたいなものが飛び出している。 「手榴弾!?」 次の瞬間、缶から吹き出した白い煙が部屋を包み込んだ。 あたりは真っ白で、僕は何も見えなくなっちゃったんだ。 聞こえてくるのはシュー、と煙が出る音と、あわてるお兄さんの声ばかりで。 そんな中に、よく聞き覚えのある声がまじってたんだ。
「ちくしょう、なんだってこんな事……」 「あたしの友達に、なんて事してるのさ」 「だ、誰だ!」 少し、風を切る音がする。 お兄さんが、見えない誰かを探して手を振り回してるんだ。 「君もだめでしょー、知らない人についていっちゃ」 「その声……ちゃん?」 「うん、今日はなかなか来ないから、探したんだよ」 優しそうな、いつものちゃんの声だ。 でも、その声がお兄さんに対する時は怒ってるみたいになる。 「さて、小さい子をさらっちゃう悪い子にはおしおきしなきゃ。……覚悟してね」 「ひっ、ぎゃあああ!!!」 物を叩いたような、すごい音がして、その後に沢山のものがバサバサと落ちていく。 きっと、本棚が倒れたんだ。 「なんだよ、この力!こんな、細い腕なのに!?」 お兄さんの苦しそうな声が聞こえる。 「あなたが弱いんじゃない?大きな体してるのにね。さあ、これでおしまい」 「がはっ」 搾り出すような声を出して、お兄さんの声は聞こえなくなった。 「さあ逃げるよ、くん!」 「う、うん」 何が起こったのかわからなかったけど、煙の中でかすかに見えたちゃんの手をとり、立ち上がる。 強い力に引っ張られて、僕は煙の中を一目散に駆けていった。
煙が引いた後、部屋の中にいるのはを連れ込んだ少年だけだった。 散らかった部屋で目を回している彼は、裸に紙おむつ一枚という姿にされて転がっているのでした。
( シュージ / 08/03/29(Sat) 17:18 )
A. 逃げ出した先で
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